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おはようございます。
京都市四条新京極入り口の阪本漢方堂です。
今朝はタデ科の植物のお話から取り上げてみましょう。
スーパーの魚売り場では鮎(アユ)を見かけます。この鮎の塩焼きに欠かせないのがタデ酢。
タデ科の植物と言えば最初にイメージするのはタデでしょうか?
タデ酢は青蓼(アオタデ)葉をすり潰して酢と合わせているので、鮎の生臭さを消してさっぱりと美味しくいただけます。またお刺身を買うと赤紫色の小さな「つま」として付いているのが、紅蓼(ベニタデ)です。ただの飾りとして食べないでいる方も多いのではないでしょうか?
タデの苦い葉を食べる虫があるように、人の好みはさまざまであるいう意味の諺、「蓼食う虫も好き好き」に登場する蓼(タデ)です。
さてタデとは話が離れるのですが、先々月京都府立植物園にて同じタデ科の植物であるキブネダイオウが花を咲かせ見頃だったので、見に行って写真を撮って参りました。
キブネダイオウはタデ科の多年草植物で、名前の通リ京都の貴船川沿いにて、日本の植物学の父と云われる牧野富太郎博士が発見・命名されました。
絶滅危惧植物で、京都府や環境庁のレッドデータブックに掲載されており、現在貴船地区と岡山県の一部のみ生息の貴重な植物です。
ところで皆さんは、漢方薬として用いるタデ科の植物が幾種類か有ることを、ご存知でしたか?早速ご紹介しましょう。
大黄(ダイオウ)、それにツルドクダミの何首烏(かしゅう)、藍染めで有名な藍(アイ)、イタドリやスカンポとも呼ばれる虎杖根(こじょうこん)など挙げられます。
その中でも今回注目したのが、大黄(ダイオウ)です。
漢方で用いるのは根っこのところ根茎です。
大黄は奈良の正倉院にも献納されており、平成6年~7年にかけて最新の分析器を用いた科学調査で、悠久の時を経た現在でも薬理作用があるのだと、調査に加わった先生の講演をお聞きし知りました。私は改めて漢方生薬のすごさを感じ取りました。
ではこの大黄の大きな働きを3つご紹介しましょう。
まず1つ目は便秘に用います。腸を刺激して、便を押し出す運動を高め排便させます。
2つ目は喉や口の中、目、顔などの炎症や、のぼせ、鼻血、興奮した状態を鎮めるのに用います。この場合にはシソ科のオウゴン、キンポウゲ科の黄連(オウレン)と組み合わせて用います。(*1)
最後3つ目は、月経のトラブルや打撲など血の滞りによるトラブルに用います。
この場合には桃の種の桃仁(トウニン)、シナモンで有名な桂皮(ケイヒ)などを5種類が配合された漢方薬として用います。(*2)
便秘で冷えのぼせが有り、男性女性問わず血圧の高い方、生理不順、生理痛がひどい、更年期の神経症(具体的には漠然とした不安感、落ち込み、ザワザワして落ち着かないなど)に用いる漢方薬です。
最後にこのタデ科の大黄が配合された漢方の便通薬をご紹介しましょう。
乾坤(けんこん)と呼ばれる黒く小さな丸い粒です。配合される生薬はバラ科のノイバラの果実の営実(えいじつ)、ユリ科のケナシサルトリイバラの根茎の山帰来(さんきらい)など8種類の生薬から作られています。
この漢方の良いところは便秘だけでなく、便秘に伴う症状の改善が出来るのです。例えば肌荒れ・吹き出物の改善、お腹に風船がある訳ないのに空気が溜まっているような膨満感の改善、臭いおならが出る、便が臭いなどの腸内異常発酵、それに人に相談しにくい痔のトラブルの改善に役立ちます。
ちなみにお値段は900丸(900粒)入っていて税込み2910円です。7歳以上の小学生から大人まで服用して頂けます。年齢や便秘の頑固さ加減によって飲む乗数も変わってきます。
最後に皆さんの周りに、便秘で不快な症状が有る方、症状改善だけでなく昔のように便秘薬に頼らずとも自然な便通がつくように体質改善を考えておられる方がいらっしゃいましたら、是非教えてあげて下さいね。
阪本漢方堂
(*1)三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)として用います。
(*2)桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)として用います。