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「漢方と化石:竜骨」~桂枝加竜骨牡蛎、不眠や漠然とした不安感に~

おはようございます。

京都市四条新京極入り口の阪本漢方堂です。

早速ですが、皆さんは漢方薬の原料に化石を使用していることをご存知でしたか?

今朝は、「漢方と化石」についてみてみましょう。

 

漢方薬の原料と云いますと皆さんは何をイメージなさいますか?

最初はまず、草木や木の実など植物性の原料生薬をイメージされると思います。そして次にイメージされるのは阪本漢方堂が得意とするマムシをはじめ鹿の角(鹿茸:ロクジョウ)スッポン熊胆(くまのい)、牛から取れる牛黄(ごおう)などの動物性の原料生薬です。

あまりイメージなさらないものとして鉱物生薬を挙げることが出来ます。鉱物とは石のことです。本日はその中から化石に注目してみたいのです。

 

化石と云うと子供の頃関心が高かった首長竜やティラノサウルスの化石を思い浮かべますが、漢方で用いる化石は恐竜たちがいた時代の後の時代です。恐竜が絶滅して鳥や哺乳類が繁栄した時代だと云われる新生代の頃のマンモスや像の仲間、サイの仲間、鹿の仲間など古代の大型哺乳類動物の骨の化石を用います。

白色から灰白色で、硬くて細かく砕けたタイプが日本では流通しています。

化石とは云わず漢方の名前:生薬名は竜骨(りゅうこつ)と云います。

 

成分は炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどカルシウムがメインですが、他にマグネシウムや鉄など多くの種類の微量元素、それにアミノ酸が含まれています。

 

漢方としての働きは、精神不安(漠然とした不安感)や不眠・焦燥感・動悸などの症状に、また下痢や寝汗に他の生薬の組み合わせで用います。

 

例えば、葛根湯に含まれ骨格になる5種類の生薬(*1)に、海の牡蠣の貝殻と一緒に組み合わせた漢方薬:桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)が有ります。

化石の竜骨と牡蠣の貝殻の組み合わせです。子供たちの宿題夏休みの自由研究に使えそうな組み合わせだと思うのは私だけでしょうか?

 

ではこの漢方薬の使用目標は、どのようなタイプの方なのでしょうか?

体力・精力が消耗して疲れやすく、のぼせてフラフラする、お腹に動悸がある。下腹部が張る。髪が抜けたりフケが出たり、精神不安や神経症なったものが目標となります。(*2)

 

 

ではこの漢方薬:桂枝加竜骨牡蛎湯で良くなられた一例を取り上げてみましょう。

70歳代前半の男性。お悩みの相談内容は不眠ですが最初は頻尿・前立腺肥大でお越しの方です。夜熟睡できない。寝られないと余計不安感が募るとのこと。寝られないから夜中トイレおしっこに行くのか、夜中トイレに行くから寝られないのかと悩んでおられていました。

カウンセリングで「何に対し不安や心配を感じていらっしゃるのですか?」との問いに対し、近隣のお家のリフォーム工事が気になり心配になる。同居している高齢の母親が体調を崩し入院し「もう(自宅に帰ってこられないだろうと」気になってしまう。

眼圧は正常だが緑内障と診断され点眼薬での治療が始まった。「これから先どうなるのだろう。見えなくなったらどうしよう」と知らぬ間に考えてしまい、余計不安になる。

そうこうしているうちに睡眠導入剤だけでは寝られなくなり、抗不安薬も一緒に服用するようにと薬が増えた。

眠れないことがストレスになり、より心配・より不安になると訴えられていました。

 

そこで本日ご紹介の竜骨の配合された漢方薬と、小食で胃腸の弱いタイプなので栄養補助食品との併用でおすすめしました。

半月ごと通われ、お越しの際に状態の確認や感じておられる不安な点、心配な点をお聞きし吐き出して頂くことで、徐々に睡眠導入剤や抗不安薬を飲まずとも2~3時間寝られるようになってきたと変化が出てこられました。

「現在でも一晩に1回から多いと3回くらいトイレに起きるが、以前と違いトイレの後もちゃんと寝られるようになった。」と、とても喜ばれました。

 

「寝つきが悪い」「眠りが浅い」「寝たぞ!と云う熟眠感が少ない」など寝られなくてお悩みの方が相談によく来られます。お気軽に問い合わせのお電話を下さいませ。

また皆さんの周りに、不眠や漠然とした不安感でお困りの方がいらっしゃいましたら、是非教えてあげて下さいね。

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