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皆さん、おはようございます。
京都市新京極入り口の阪本漢方堂です。
緊急事態宣言が続く中、世間では健康に対する意識がとても大きく変わってきたと感じます。本屋さんに行きましても「免疫」と表現される書籍や雑誌が増えています。
手洗いや、こまめな手指消毒が新型コロナウィルス感染予防に有効であるとされる論文が発表されるなど、今後も継続していく必要性を感じます。
年代別の感染陽性者の回復された方や、お亡くなりになった方の割合を見比べてみますと、80歳以上でお亡くなりになる割合が高いのは、高齢であることから免疫の働きの老化・機能低下、基礎疾患の有無、それに過去も含め喫煙、肥満や逆に低栄養による痩せていることなども要因として挙げられます。
漢方医学の考え方では、「未病を治す(ちす・なおす)」と有ります。
高齢の方、若くても基礎疾患をお持ちの方、また基礎疾患には含まれていませんが、喫煙や肥満の方などは、もしウィルスの侵入を許したとしても、重症化しないように備えて頂きたいと考えます。
ちなみに基礎疾患とよく云われますが、それは糖尿病、心臓病、慢性の腎臓病や呼吸器の病気、免疫抑制剤や抗がん剤などを使用している方を指します。
これらの基礎疾患がない方も、高齢の方も未病のうちから対策して欲しいと思います。
身体を冷やす飲食は控え、なるべく身体を温め平熱を高めにキープしてください。
平熱は36.5℃以上が目標です。
ではここで免疫力を高める効果のある漢方薬、幾種類もある中から具体的に1つ補中益気湯(ほちゅうえっきとう) をご紹介しましょう。
元気の「気」を補うと書く、補中益気湯は身体をシャンと元気にしてくれます。
近年の研究で、(おなか)腸管にいる免疫細胞から解き放たれるタンパク質(*1)を増産促進することで免疫力を発揮してくれます。
それは白血球の仲間(*2)を刺激して、侵入してきたウィルスや細菌などを退治し、抗体と呼ばれる武器を作るのに、どのようなウィルスや細菌が侵入してきたかの情報を、他の白血球の仲間に伝えてくれるのです。
では補中益気湯の配合をみますと、柴胡、黄耆(おうぎ)、升麻(しょうま)、薬用人参、陳皮(ちんぴ)、生姜、大棗(たいそう)、甘草、当帰、白朮(びゃくじゅつ)の10種類の生薬が入っています。
薬用人参とマメ科の黄耆の組み合わせは、元気の素「気」が不足している場合によく用います。せり科の柴胡やキンポウゲ科の升麻は、ダラーンと下がったのを持ち上げる働きがあるので、胃下垂、子宮下垂、子宮脱、脱肛などの際に用いたくなる生薬の組み合わせです。(*3)
他に生姜、ミカンの皮である陳皮やナツメの実である大棗マメ科の甘草が配合されます。
この生姜や陳皮、それに柴胡、升麻などは乾燥させる性質が有るのですが、乾燥しすぎないようにする為と、気を補う働きを高める為に、血を補うせり科の当帰も配合されています。
そもそもこの漢方薬は、元気が無く胃腸の働きが弱っていて食べられない人、食欲不振、手術後の弱っている時に用います。
身体を冷やすのではなく、身体を温め、消化管である胃腸をはじめ肝臓や肺など内臓の機能を高め身体全体を元気にしてくれます。
更に免疫能力増強を考えて黄耆とキク科の白朮、せり科の防風との併用もおススメです。(*4)
よって普段から病気知らずで、体力が充実している方が飲むと、ダメではないのですが「漢方ってよくわからんな~何も変わらない」と云われることになりそうなのです。
基本的にこの補中益気湯は、身体が弱っている体力が不足している方ほど体感してもらえるのです。漢方薬の基本は、「証(しょう)」と云いまして、漢方のルールに従い、問診して処方を選ぶことが大切なのです。専門家にご相談下さい。
そもそも私達の身体に備わる生体防御機能を引き出し、高め、ウィルスと戦うことの出来る身体作りを日ごろから心掛けることが、漢方の「未病を治す(ちす)」=未だ病になっていない、病の手前状態を治す(なおす)ことにもつながります。
皆さんも、困った時にすぐ診てもらえる西洋医学かかりつけ医と、困った時に気軽に相談の出来る漢方医学の専門家を見つけておかれると、今の時代お役に立ちますよ。
相談の出来る薬局 阪本漢方堂
*1 INF-γ
*2 マクロファージ 樹状細胞
*3 昇提
*4 玉屛風散