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皆さん、おはようございます。京都・四条新京極入り口の阪本漢方堂です。
梅の花が綺麗に咲く季節になりました。かわいらしい白や紅の花を咲かせています。
見て楽しい梅の花ですが、果実である梅の実は梅干しとして「おにぎり」やお弁当でも白ご飯の上に1つと、欠かせないですね。
なぜなら食欲増進や食中毒の予防としての働きを考えて使われてきました。
私達は昔からこの梅干しを健康食・民間療法として活かしてきました。
現在も女性に人気の梅酒として、冷える方はお湯割りにして飲まれる方や、健康の為に1日1個梅干しを召し上がる方、また風邪の初期に網の上で梅干しを焼いて黒焼きにして、熱い湯の中に入れて梅干しごと頂いた経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのような梅は漢方の世界ではどのように用いられているのでしょうか?
まずは民間薬としても有名な梅肉エキスの梅肉膏を御紹介致しましょう。
以前に卵油や卵油球の放送でもお伝えしました通称、赤本(あかほん)と呼ばれる「家庭における実際看護の秘訣」にも掲載されて全国に有名になりました。
風邪や咳・喉の痛み・下痢・食中毒などに用いられてきました。
現在では食品扱いで、日常の健康維持に役立てるのに梅肉エキスとして流通しています。
この本は初版が大正14年ですが、現代語版として作り方が記載されていますので、興味のある方は参考になさるといいでしょう。
また梅肉エキスは、毛細血管の血流を良くすることから高血圧や動脈硬化の予防として食されています。
次に紹介するのは、お茶や薬膳料理の材料としても使用される漢方生薬の烏梅(うばい)です。
成熟する前の青い状態の梅の実を燻蒸して、表面が烏(からす)のように黒くなったものです。その黒さから漢字も烏(からす)の梅と書いて烏梅(うばい)と云います。
日本には、梅の木そのものより先にこの烏梅が伝来してきたと云われています。
燻(いぶ)したいい香りの中に、梅のほのかないい匂いがします。
秋田県名産漬け物、いぶりがっこのようなイメージで、とてもいい香りです。
烏梅は下痢や吐き気、口の渇き、咳、熱冷ましに用いられています。
この烏梅を用いた漢方処方に烏梅丸(うばいがん)が有ります。
薬用人参や山椒の実、それに蒸して乾燥させた生姜をはじめ10種類の生薬の組み合わせから作られ、主に虫下しに用いられました。(再度書籍確認)
しかし漢方薬局の現場では虫下しの相談はほとんどなく、(この烏梅に関連して)多く感じる相談は口の渇きや咳の方です。
原因としてエアコンの影響や今の時期空気の乾燥による口の渇き、
また普段お飲みの化学合成の薬の副作用による口の渇きが考えられます。
口の渇きや乾いた咳・空咳が出易い方のお茶やジュースとして試されるのも一つです。
例えば、お水約4合(720ml)この烏梅5~10gを水の状態から入れて最初は強火、沸騰してきたら弱火にして10~15分位煮ます。
ある程度冷めてきたら、お好みで蜂蜜を大匙3~4杯加えます。冬場はホットで、夏場はアイスで飲まれるのもおすすめです。
今日のお話を思い出しながら梅を見に行かれると、また違って見えるかもしれませんね。
「いぶりがっこ」のような香りの梅の漢方生薬を覚えておいてくださいね。
最後に皆さんの周りに、のど口の渇きや乾いた咳(空咳)が出てお困りの方がいらっしゃいましたら、是非教えてあげて下さいね。
阪本漢方堂