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おはようございます。
京都市四条新京極入り口の阪本漢方堂です。
今回は、漢方の世界で用いる鉱物生薬の中から「漢方薬と滑石」を取り上げてみましょう。
滑る石と書く滑石、私が面白いと感じたのは2年前、阪本漢方堂薬局支店の西陣千本店近くにある京都市考古資料館の企画陳列で次のことを知ったのです。
① 平安時代の終り頃に、この滑石を鍋型に加工し石鍋として煮炊きものに使用されていたこと。
② 保温性に優れていて料理が冷めにくい点があること。
③また割れやすい欠点があるが、割れた面を平らに削ることで現在の携帯カイロのような温石(おんじゃく)として再利用されていたことを知ったのです。
④滑石は鉱物・石の仲間ですが、硬度(硬さ*1)は私達の爪より柔らかいので削り易いのです。
平成・令和の今の時代と違い電子レンジもエアコンもカイロも存在しない平安時代の終り頃、寒い冬の季節の人々の暮らしを想像すると、少しでも温かい食事を出来るように、家の中も隙間風が入るでしょうからカイロ(ホカロン)のように使用している当時と比べると、私達の暮らす今の時代は、ほんと有難いな~と思うのです。
さて今までご紹介した滑石は、鉱物学で云われるタルクと呼ばれる硬滑石で、
日本の漢方で用いるのは軟滑石です。
ここでも私が面白いと感じるのは、名前と実際の硬さ(*2)は逆なのです。
それと明の時代は両方を使用していた中国が現在中医学で使用するのは硬滑石で、同じ滑石と表示していても日本と異なる点です。
では次に滑石の働きを見てみましょう。
一つは血尿や排尿異常、尿量の減少に利尿作用を期待して用います。二つ目は熱性の病気に清熱薬として用います。
具体的に滑石を配合した漢方薬:五淋散(ごりんさん)をご紹介しましょう。
トイレが近い、排尿時の痛みや残尿感があるなど尿道や膀胱にトラブルがある方におすすめしたい漢方薬です。
この漢方薬の出典元の和剤局方(わざいきょくほう)にあるのですが、滑石の他にアケビのツルである木通(もくつう)、オオバコの種である車前子(しゃぜんし)などを含め11種類の生薬が組み合わさっています。
阪本漢方堂には、尿のことでお悩みの方が来られます。
膀胱炎を繰り返す。結石が出来やすい。昼間や夜間の頻尿、残尿感、排尿時の違和感や痛み、尿の色が気になる、尿が泡立つなど訴えられます。
皆さんの周りに排尿・おしっこのお悩みの有る方がいらっしゃいましたら、是非教えてあげて下さいね。
阪本漢方堂
(*1)モース硬度計
(*2)モース硬度計を用いた硬さ