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皆さん、おはようございます。
京都市新京極入り口の阪本漢方堂です。
奈良国立博物館で開催中の第72回正倉院展に行ってきました。
4年前に訪れた時と違い今年はコロナ禍の開催なので、事前予約制になっており入場時間前の行列では体温チェックも行われていました。しかし入場時間帯ごと人数制限があるのでとてもゆっくりと見ることが出来ました。
ただ次回の正倉院展を見に行く時にはオペラグラスを持参した方が良いと、学びました。
皆さんもお出かけの際に参考になさって下さいね。
さて今回、漢方生薬は8種類出展されているのですが、その中から厚朴を見ていて、「咳と漢方薬」が思い浮かびました。
今朝は正倉院展の厚朴に関連して「咳と漢方薬」について取り上げてみましょう。
日頃、乾いた咳(空咳)や痰の絡んだ重い咳などお悩みの方に朗報ですよ。
厚朴ですが、日本産では飛騨高山の郷土料理、朴葉味噌で有名なモクレン科ホウノキ、お料理ではホウノキの葉の上に味噌を具材と共に乗せて焼いて頂きますが、漢方では葉っぱではなく、樹皮を現在用います。
輸入品では同じモクレン科のカラホウの樹皮を用います。
正倉院展に行ってみて知ったのですが、近年の調査で正倉院の厚朴は、中国南部の一部の地方で用いられるクルミ科の植物の樹皮とのことでした。
では現在流通しています厚朴の働きをご紹介しましょう。
お腹の張り膨満感の解消の働き。消化管内の水分吸収促進と、胃腸の蠕動運動を調節して下痢、消化不良や嘔吐を改善する働き。気の巡りを良くし咳、呼吸器の症状や神経症を改善する働きがあります。
単独で用いるより、相性の良い生薬と組み合わせます。2種類の漢方薬を紹介しましょう。
まずは桂枝加厚朴杏仁湯(けいしかこうぼくきょうにんとう)です。
桂枝は薬用のシナモンのことで、生姜やナツメの実、ボタン科の芍薬、マメ科の甘草、アンズの種、本日ご紹介の厚朴の7種類の生薬を組み合わせています。
身体の虚弱な方や、子供の咳や呼吸をする時のゼーゼー、ヒューヒューに用います。
次に紹介するのは半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)です。
気の巡りを良くする代表的な漢方薬で、喉に異物感のある方、胸につまった感じのある方、神経質な方や、軽いうつ状態の方に適応出来るかを考えます。
配合される生薬は、妊婦さんの「つわり」の時に使用する組み合わせの「生姜、サルノコシカケ科の茯苓、サトイモ科の半夏」に、軽いうつ状態に使用する組み合わせの「紫蘇の葉に本日紹介の厚朴」の5種類です。
ストレスが多い現代社会に活躍する配合で、気分がふさいでいて、喉・食道に異物感が有り、時に動悸、めまい、吐き気が伴う方の咳やしわがれ声、それに不安神経症、神経性胃炎などに用います。
漢方では「気(き)、血(けつ)、水(すい)」と云いまして、血の巡り、水はけ、つまり水分代謝と同様に、気の巡りも重視します。
「嫌だわ~、かなんな~、困ったな~」などの感情が(ストレスが)、気を滅入らせ、気を停滞することで、身体に色々と症状が出てきます。
正倉院展を見ていて、天平の時代でも人々はどのようなストレスを感じて暮らしていたのだろうか?とつい想像してしまいます。
皆さんの周りに、空咳のような乾いた咳や痰の絡んだような重い咳を良くなさる方、喉のつかえ、喉の異物感、胸のつかえ感の有る方、眩暈(めまい)や漠然とした不安感の有る方がいらっしゃいましたら、是非阪本漢方堂を教えてあげて下さいね。
相談の出来る薬局 阪本漢方堂