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皆さん、おはようございます。
京都市四条新京極入り口の阪本漢方堂です。
早速ですが皆さん、「ふゆむしなつくさ」と書いて冬虫夏草(とうちゅうかそう)と云う漢方生薬をご存知でしょうか?
昆虫に寄生して育ったキノコの仲間です。
漢方薬として、また時には薬膳料理にも用いられる冬虫夏草。
以前、京都市左京区下鴨の広東料理の店「蕪庵(ぶあん)」さんで、冬虫夏草のスープを頂いたのを思い出します。
今朝は「冬虫夏草の認知機能と免疫に関する研究」について取り上げてみます。
阪本漢方堂で取り扱っている冬虫夏草(姿、原型)はコウモリガの幼虫に寄生したキノコで、産地はチベットや四川省、青海省など標高の高い高山地域のものです。
極まれにKBS京都ラジオ向かいの京都御所(京都御苑のこと)でセミの幼虫に寄生したセミタケや蜘蛛に寄生したクモタケが見つかったりしています。
寄生する昆虫や菌の種類の違いで約500種類もあると云われています。
ただし中国伝統医学・中医学(ちゅういがく)が定義する冬虫夏草は固有名詞であり1種類だけです。
漢方では、五臓六腑で云う肺・腎系を補い、慢性化した咳や寝汗、病後の体力低下に用いてきました。
それ以外昆虫に寄生し出来たキノコは、虫(むし)草(くさ)と書く、虫草(ちゅうそう)のグループになります。
日本ではバッカクキン科ノムシタケ属のキノコを冬虫夏草属としてきたため、2種類の意味の冬虫夏草が存在しています。
ところで飼育したカイコに生えるタイプがあるのですが、このタイプに認知機能の改善が期待出来る成分(*2)を新発見し、アメリカオンライン科学誌に論文を掲載したことを第一工業製薬が発表したと、先日報道がありました。
発見された成分は、アミノ酸が輪のように連なって結合したもので(*2)、神経細胞の成長を促進する効果や、神経細胞を保護する働きの細胞(*3)が増える作用が有ることが研究で分かったとのこと。
マウスを用いた実験では、空間記憶が回復したとのこと。
今後、人間を介した試験も大阪大学をはじめ行われていく予定も耳にするなか、この認知機能に関する科学的な根拠が確立されれば、機能性表示食品として登場するのではないかと思われます。
認知機能低下に関して、阪本漢方堂の店頭や電話相談でも、「5年前からお鍋を焦がすようになった」「最近うちの母、20~30分の間に何回も同じ話を繰り返すようになった」や「冷蔵庫にまだ有るのに、同じものを買ってきた」など、「このままで大丈夫かしら?」などとお聞きする機会も増えるようになりました。
人生100年時代、頭もしっかりした健康な状態で長生きをしたいものです。
あと免疫に関連して一つ。
ウィルスや、細菌、悪い細胞など異物をやっつけ排除する為に、免疫力を正常に高めていきたい時にキノコ系をよく用います。
冬虫夏草もキノコの仲間です。
カイコに寄生したタイプのマウスの実験でも、生存期間の延長や腫瘍の重さや体積の減少が報告されています。認知機能の研究同様に、人間を介した試験で今後科学的な根拠が示されるようになると、もっと注目されてくることでしょう。
冬虫夏草をはじめキノコ系の生薬や健康食品を阪本漢方堂では取り扱っておりますが、時節柄日常の食生活においてキノコ類を意識的に召し上がることをおススメしています。
エノキ、椎茸、舞茸、シメジ、なめ茸、ヒラタケ、エリンギなど飽きないように日によって種類を変えて食べる。出来れば色の濃淡を問わず他の野菜と一緒にスープや鍋にして温かい状態で召し上がって下さいね。
最後に皆さんの周りに、免疫に関する資料が欲しい方、認知に関して心配だわと思われる家族親戚がいらっしゃいましたら、資料を差し上げること出来ますので、お気軽にお電話&ご相談下さいませ。
相談の出来る薬局 阪本漢方堂
*1 コルディセプス・シネンシス
*2 ナトリード(環状ペプチド)
*3 グリア細胞