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「ミミズ 地竜 補陽還五湯」

皆さん、こんにちは。

今日は、地面の「地」にドラゴン「竜」と書く「地竜(じりゅう)」について取り上げてみましょう。

地竜は動物性生薬になるのですが、皆さん何か想像つきますか?

それはミミズです。

ミミズは田畑の土に養分を与え、良い土壌作りに役立ってきました。

近年、生ごみを専用のボックスに入れ、ミミズと微生物の力を借りて堆肥化させる取り組みをなさるご家庭もあります。

また釣りをなさる方は、釣りの餌として重宝されています。

 

そして漢方の世界では、生薬名を地竜のほか、蚯蚓(きゅういん)、白頸蚯蚓(はっけいきゅういん)と呼んで用います。

熱を冷まして痙攣を解消風邪の発熱時に用いる他、気管支を広げる働きや、血圧が高い方の場合には下げる働き、鎮静の働きがあります。

それ故に気管支炎や喘息に、また経絡の巡りを良くすることから神経痛・関節痛に用います。

その他に民間療法として中耳炎や浮腫み、尿路感染、尿が溜まっているが出ない場合などに使用されます。

 

またアカミミズと呼ばれるミミズの種類から、血管の中に出来た血栓を溶かす酵素が見つかりました。(*1)

心臓や脳の血管をはじめ、髪の毛の太さと同じかそれより細い血管(*微小循環)の中の血栓が溶ける点に注目されています。

このような細い血管に血栓が出来ると、肩こりや腰痛、頭痛などの症状があらわれるようになり、更に血管が血栓で詰まると、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・狭心症・脳血管性の認知症に進む可能性が高まります。

 

ではこのミミズ、地竜が配合された漢方薬:補陽還五湯(ほようかんごとう)をご紹介しましょう。

 

中国では、脳卒中の後遺症に良く使用される処方で、元気の素である「気」が不足し、血が滞り栄養や酸素が全身に行きわたらない為におこる半身不随など、筋力の低下、シビレ、言葉のもつれ、尿漏れに用います。

全身に滞りなく血を巡らせるにはエネルギー「気」が必要となるので、マメ科の黄耆(おうぎ)で、気を補い、水はけをよくする。

他にセリ科の当帰、川芎(せんきゅう)ボタン科の芍薬、桃の種:桃仁(とうにん)。キク科の紅花(べにばな・こうか)、それに経絡の通りをよくするミミズ・地竜が加わり、気を高めて血流を改善してくれます。

このことから脳の血管トラブルがなくても、一般的な血流の悪さやエネルギー不足がベースに有る方の中で、疲れやすい、気力がない、足腰をはじめ筋力の低下、血流の悪さから肩こり、頭痛、それに軽い尿漏れなどのお悩みがある方にも、おすすめしたくなります。

 

他に珍しい使い方として、果実酒:梅酒ならぬ、薬用酒:地竜酒です。

ホワイトリカー1ℓに対し、地竜400gを漬け込みます。

これを高血圧でお悩みの方で、しかも肝が高ぶりやすくイライラし怒りっぽいタイプの方や、顔色が赤く胸や腹部・腋が張って苦しくなるタイプの方に、毎日少量(*2)飲む方法がございます。

 

このように考えますと、ミミズは私達の健康にも十分役立ってくれるようです。

阪本漢方堂では、煎薬用の乾燥したタイプをはじめ、エキス顆粒タイプ、飲み易いカプセルタイプなど複数取り扱っています。

 

皆さんの周りに、疲れやすい、一晩寝ても疲れを持ち越してしまう方、気力体力の低下、筋力の低下、話をしていても言葉がもつれる方、軽い尿漏れでお悩みの方が、もしいらっしゃいましたら、是非阪本漢方堂を教えてあげて下さいね。

 

相談の出来る薬局 阪本漢方堂

 

(*1)ルンブロキナーゼ  (*2)10~30ml

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