目次
1:子宮の構造
子宮は骨盤の中にある、洋梨のような形をしています。
漿膜・筋層・内膜の三層からつくられていて子宮の上部3分の2を子宮体部、子宮の下部3分の1を子宮頚部といいます。
2:月経困難症とは
月経直前または開始とともに症状が強くあらわれ、月経終了前または終了とともに消失します。
軽い生理痛とは違い、症状の程度が強く、日常生活に支障をきたし治療が必要になります。
・下腹部痛
・腹痛
・腹部膨満感
・悪心
・頭痛 など
3:月経困難症の原因
機能性のものと器質性のものがある。
機能性のものとしての代表的な疾患は子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫があります。
部 位 | 病 態 | 月経困難症以外の主な症状 | |
子宮内膜症 | 子宮内腔面以外の部位 | 子宮内膜様組織の増殖 | 下腹部痛・性交痛・排便痛腰痛・不妊 |
子宮腺筋症 | 子宮筋層内 | 子宮内膜様組織の増殖 | 月経過多・貧血 下腹部痛・腰痛・不妊 |
子宮筋腫 | 子宮筋層の平滑筋 | 良性腫瘍 | 月経過多・貧血 下腹部痛・頻尿・便秘・不妊 無症状も多い |
子宮内膜症は子宮外の様々な組織に子宮内膜が増殖する病気ですが、子宮腺筋症は子宮内の筋肉組織の中だけで子宮内膜が増殖する病気なので同じような性質をもっています。
また、子宮腺筋症と子宮筋腫はともに子宮が大きくなる病気で子宮筋腫が正常の子宮の部分と筋腫の部分がはっきり区別できるのに対して、子宮腺筋症では子宮の筋肉にばらまかれたように病変がみられます。
それぞれの疾患が合併しているケースもあります。
4:月経困難症と漢方
まず血の滞りを良くしてあげる生薬や、痛みを和らげてあげる生薬を、不正出血や月経量が多い場合には止血・補血(ホケツ)の働きの生薬を組合せ用います。
それに冷える場合には体を温める生薬を使い、逆に熱が体にこもっていて火照り・のぼせが強い場合には熱を冷ます生薬の組合せが必要になります。
同じ症状でも、その方の体質により温めたり・熱を冷ましたりと方向性が全く逆の場合があるのが漢方薬の特徴です。
胃腸の強い方か、弱い方、などによっても違います。
胃の働きを改善する生薬を組み合わせることもあります。
しかし今まで用いることが多いタイプでは、「冷え」と「血の巡り」がキーワードになります。
5:月経困難症におススメの薬草・漢方薬
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
ボタン科の牡丹の根の皮や芍薬の根、それにシナモン、桃の種の桃仁(トウニン)、サルノコシカケ科の茯苓(ブクリョウ)から作られています。 血の滞りを改善することで巡りが良くなり、生理痛でお悩みの方をはじめ、月経不順・ 更年期障害・血の道症・肩こり・めまい・頭が重い方、しもやけでお悩みの方におすすめです。 それに肌が黒ずんだり、シミや青あざが出来やすい方によい漢方薬です。 この「桂枝茯苓丸」は、丸薬・顆粒・煎じるタイプの3タイプがあります。
サフラン
アヤメ科のサフランの雄しべの花柱を用い、漢方の世界では別名を「番紅花(バンコウカ)」 といいます。お料理としてもサフランライスとして色は香りづけに使用されています。 その代表料理としてパエリアが有ります。 ヨーロッパでは胃薬や神経を安らげる働きとして用いられます。 日本では民間薬として生理痛や生理不順に、雄しべの花柱を5~10本に熱い湯を注ぎ お飲みください。 漢方薬と併用もおすすめです。 ただ気分を静める働きがあると云っても、妊婦さんにはおすすめ出来ません。
<芎帰調血飲第一加減(キュウキ・チョウケツイン・ダイイチ・カゲン)>
長い名前の漢方薬で、配合される生薬の種類も21種類と、とても多いものです。
内容を見てみますと、紅花(ベニバナ)・ボタン科の芍薬(シャクヤク)や牡丹の根・ナツメ・生姜・ミカンの皮・サルノコシカケ科の茯苓などが配合されています。
気の巡りを良くする生薬の配合も多いので、月経前から始まる、体の症状だけでなく精神的に
イライラや興奮したり、また憂鬱になったり、月経が始まるとそれらの症状が自然と解消されてしまう月経前症候群(ゲッケイゼンショウコウグン)の症状や産後の精神不安の改善にもおすすめです。